クライアントから情報を引き出すためのヒアリングシート。これがうまく機能していることで、適切な提案をすることができるようになります。
でも、クライアントに合わせたヒアリングシートを作成することは意外に難しいもの。いざ作ろうと思っても聞き出す項目がパッと出てこなかったり、欲しい情報が引き出せなかったりするケースは少なくないものです。
そこで今回は、私が実際に気をつけている、ヒアリングシートから情報を引き出しやすくするためのポイントについて7つご紹介していきます。うまく情報が引き出せないあなたは、ぜひ参考にしてみてください。
ヒアリングシートについて
これからご紹介するポイントを盛り込んだヒアリングシートをご用意してありますので、参考までに。

ヒアリングシートをPDFやエクセス形式などでご用意するのではなく、Webサイトのページ上にフォームを用意して記入してもらいます。なので、ヒアリングページですね。
その理由についても、この記事でご紹介してます。
ヒアリングシートから適切な情報を引き出すために必要な7つのポイント
1, ヒアリングシートは重要な項目から書いてもらう
私のヒアリングシートでは、サイトにとって重要なコンセプトやターゲットといった項目から記入してもらうようにしてます。
ヒアリングシートというのは、質問項目数がどうしても多くなったり、長文になりやすいので、記入している途中でクライアントの気持ちがダレてしまう可能性があるのです。
一般的に名前や住所、電話番号といったクライアント情報から記入するケースが多いですが、簡単な入力内容から始まったとしても項目数が多いというだけで途中で疲れてしまい、最後の方の項目は適当になりがちだったり…。
この理由から、詳細に記入してもらいたい重要な項目から順に並べるようにします。コンセプトやターゲットといった項目から書いてもらうようにすると、詳しく教えて欲しい情報はしっかり確保できるようになるのです。
住所や電話番号などのクライアント情報は、ヒアリングシートで聞かなくてもいいですよね。というより、問い合わせの時点で知っている情報でしょうから、ヒアリングシートでは記入してもらわなくても問題はないと思います。
2, 質問口調でプレッシャーを与えない
「○○ですか?」といった質問口調にすると「しっかり答えないといけない。」と、何気にプレッシャーを感じやすいものだったりします。先述したようにヒアリングシートは質問項目が多いので、答えていくごとにその小さなプレッシャーは積み重なっていくのです。
そこで、質問文は質問口調ではなく「○○を教えてください。」とお願いするようなかたちで記載します。
私の場合、「すべての項目に記入してもらわなくてもいいですよ。」とあらかじめ伝えておきますので、その点でもプレッシャーを感じずに落ち着いて記入することができるようになります。
できるかぎりプレッシャーは与えないようにする心遣いはとても大切なのです。
3, 補足文章でクライアントの情報を引き出す
先述したように質問文では質問形式にしていないため、こちらが聞きたいことがクライアントに伝わりにくい場合があります。そこで、補足文を追加して聞きたい事を具体的に表現します。
この補足文には、質問文では分かりにくい部分の説明だけではなく、記入する際のヒントなども記載しておくことで、クライアントの考えを引き出しやすくなります。
質問文と補足文をセットで記載しておき、クライアントから情報を引き出すようにしましょう。
4, できるかぎり選択項目を用意して記入の手間を省く
記入する項目ばかりだとさすがに記入疲れが出てしまうので、選択肢からでも引き出せる情報は、複数の選択項目を用意してそこから選んでもらうようにしてます。予算や納期などは選択肢から選ぶようにしてもいいですよね。
選択肢の例としては、
- 予算
- 10万円以下、10万円〜20万円、20万円〜30万円、30万円以上
- 納期
- 制作開始日から1ヶ月以内、2ヶ月まで、3ヶ月まで、納期は決まっていない、手をかけて制作して欲しい
こんな感じで。選択肢以外の答えを書きたい人のために、記入欄も設けておくと親切ですね。
と、ここで気をつけたいことを1点。
ヒアリングの主要な内容であるコンセプトやターゲットに関連する質問は、選択項目にしないということ。サイトに重要な情報はクライアントの言葉から引き出すようにします。
これにより、実際に記入したクライアント自身もその内容についてあらためて認識することができます。アウトプットの大切さはブログを更新している方ならよくご存知かと。頭の中で描いているイメージを文章化することで、新たな視点でも認識できますからね。
話しが少々それてしまいましたが、記入の手間を省ける内容はできるかぎり選択肢から選んでもらい、重要な項目についてはクライアントの言葉で伝えてもらうようにしましょう。
5, ヒアリング項目はクライアントに合わせる
クライアントに合わせてヒアリングシートの項目を決めるという配慮は大切です。私は、都度変更するようにしてます。
先述しましたが、名前や住所、電話番号、メールアドレスといったクライアント情報はヒアリングシート上で不要なら削除しておきますが、ヒアリング時に知らないケースもあるので、クライアントによっては項目を増やしたりしてます。
問い合わせからのクライアントであれば情報を記入してもらっているので知ってますが、知人からの紹介などの場合、ヒアリング時でもクライアント情報を知らないという事があるのです。
なので、あらかじめ項目は用意しておきますが、クライアントに合わせて必要なものだけ項目を減らしてから記入してもらってます。
6, ヒアリングページを用意してフォーム入力を体験してもらう
一般的に、ヒアリングシートはPDF形式やエクセル形式のシートをメールやFaxなどで送ってもらうことが多いですが、私はサイト上にヒアリングページを用意して、専用のフォームに入力してもらうようにしてます。
お問い合わせもそうですが、クライアントがユーザーの立場でフォームに入力するという体験は、そのクライアントのフォーム作成時に役に立ってきます。「私が入力した時にこのフォームは入力しやすかったな。」とか「これは要らない機能だな。」といった感想を抱いてもらうことは、ユーザーの立場に立ついい機会です。
せっかくユーザーとして実体験できる機会を、PDF形式やエクセル形式などで失うのはもったいないと思いませんか?
制作時だけではなくサイト運営の際にも役立つ経験となるので、私はヒアリングページから入力してもらうようにしてます。
7, 専門的な用語は使わない
『コンセプト』や『ターゲット』という言葉は極力使わないようにしてます。専門的なフレーズを使った質問から適切な情報を引き出せなかった事は、何気に多いのです。
よくありがちなのが「あなたがイメージしているサイトのターゲットは?」という質問ですが、これまでのクライアントとの打ち合わせの経験上、大変答えにくい内容のようでした。
『ターゲット』というフレーズはマーケティング用語。でも一般的に認知度のあるフレーズではあります。しかし、ターゲットを決めるべき理由についてまったく知らない人に「ターゲットはどんな人ですか?」と質問すると「20〜40代の女性。」という返答が即座に返ってきて、私は何もイメージできませんでした。
必要な情報を引き出せず、再度分かりやすく質問しないといけなくなって…。二度手間ですね。
専門用語を使って求めている情報を引き出せることが少なかったので、誰でも分かりやすい言葉を使うようにしてます。これにより、クライアントも返答しやすくなり、結果イメージを共有しやすくなりました。
ターゲットについての情報を引き出す場合の私のヒアリングシートの例としては、
- 質問文
- あなたのお仕事のお客様のことを教えてください。
- 補足文
- あなたが提供している商品やサービスはどのような方にウケがいいですか?実際に対面されているあなたの視点でお答えいただければと思います。また、事業向けのサービスであればどのようなクライアントが多いですか?お答えできる範囲内で教えてください。
と、こんな感じ。
経験上、クライアントが想定しているWebサイトのターゲットと、実際に提供している商品やサービスのお客様が、まったく違っているケースは何気に多いです。
自社で提供しているもののニーズが把握していないことがありますので、実際のお客様のことを聞きながら想定されるサイトターゲットを決めていくようにしましょう。
ヒアリングシートを集めてみました
これまでのポイントをもとにいざ作ってみようと思っても、意外にうまく作れないのがヒアリングシートだったりします。どのような質問すればいいか、なかなか思いつかないのでは。
これは、実際にWebサイトを制作している人であっても、ヒアリング項目はいざという時に出てこなかったりします。
そこで、ヒアリングシートを公開している記事を集めてみました。ぜひ参考にしてみてください。
- 意外となかった!Web制作者が助かるヒアリングシートや問い合わせ返信に使えるテンプレート | コムテブログ
- Web制作のクライアントにヒアリングしたい項目と意識すべき重要なこと | 株式会社LIG
- ヒアリングシート付き! ディレクター歴2年の私がヒアリング時に気をつけていること。 | ネクストページブログ
- ヒアリングシートの作成|ASCII.jp
- クライアントヒアリングシートを公開するよ 第2回 パーソナルブログの作り方-Re:Creator’s Kansai (リクリ)
- Webデザイン・構築「ままきる.net」 | ヒアリングシート
- ヒアリングシート – 売る技術(PDFファイル)
- WEBサイト制作請負用初回ヒアリングシート 共有します! | WP-D
- 新人WEBディレクターに教えたい。オリエンテーションとヒアリング | Webクリエイターズマニュアル
- ヒアリングシート公開します | Olein Design
ヒアリングシートから情報を引き出すための工夫はとても重要で、私もいまだに試行錯誤中です。
もちろん、これだけで完結するのではなく打ち合わせ時にも質問するのですが、できるかぎり適切な提案をしたいので、時間が空いた時にはヒアリングシートの手直しをしております。
クライアントに合わせてご用意することが最も大切。あなただけのヒアリングシートを作成する際に今回の7つのヒアリングシートポイントをぜひ参考にしてください。